2010/04/29
2010/04/26
2010/04/25
2010/04/23
2010/04/22
2010/04/20
比喩
それはなんというか、おそろしく孤独な建物だった。例えばここにひとつの概念がある。そしてそこにはもちろんちょっとした例外がある。しかし時が経つにつれてその例外がしみみたいに広がりそしてついにはひとつの概念になってしまう。そしてそこにまたちょっとした例外が生まれる――ひとことで言ってしまえば、そんな感じの建物だった。行く先のわからないままやみくもに進化した古代生物のようにも見える。~
~塔からは荘重な屋根つきの渡り廊下が出ていて、それは一直線に別館へとつながっていた。この別館というのがまた奇妙な代物ではあったが、少くともそれには一貫したテーマが感じられた。「思想の相反性」とでもいうべきものである。一頭の驢馬が左右に同量のかいばを置かれて、どちらから食べ始めればいいのかを決めかねたまま餓死しつつあるといった類いの哀しみがそこには漂っていた。~
~とにかく、それだけの建物が予告編つきの三本立て映画みたいに丘の上に収まっている風景はちょっとした見ものだった。もしそれが誰かの酔いと眠気を吹きとばすために長い年月をかけて計画的に設計されたものであるとすれば、その目論見は見事に成功したと言ってもいいだろう。しかしもちろん、そんなわけはない。様々な時代が生んだ様々な二流の才能が莫大な金と結びついた時に、このような風景ができあがるのだ。~
~
「ずいぶん広いね」と僕は言った。それ以外にうまい表現が思い浮かばなかったのだ。
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村上春樹『羊をめぐる冒険』より。
IGRS君は、小説は比喩を読むことだからね、と言っていた。
以来、村上春樹を読んで比喩が出てくるたびにその言葉を思い出す。
でもそういう意味じゃないでしょうが。
そして今日読んだ上の文章はふざけているなあと感心した。
比喩を全部抽出し、羊の毛を刈るようにスリムにすればだいたいの上下巻は薄い1冊になるし、単価も下がる。
2010/04/19
2010/04/18
2010/04/15
2010/04/12
戦後
急に寒くなり、明日はあったかいらしいですね。
今日で校正の仕事を終え、明日納品です。
ちゃんとやらなくても結構できているよ、何の責任もないよ、という自分もいるのですが、
ついついやってしまうので、向いている職業だなあと思います。
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会社では、単行本をまた手放しました。
鈴木さんが「もらっちゃっていいんですか」って言っていました。
この人も校正大好きなんですよ。
読むのも、誤植を見つけるのも楽しそうです。
今日、考え込んだ言葉。
正義については内面の規範に従おう。
今日5月8日に際し、あたう限り真実を直視しようではありませんか。
荒れ野の40年―ウァイツゼッカー大統領演説全文 1985年5月8日 (岩波ブックレット) (1986/02) 永井 清彦 商品詳細を見る |
2010/04/11
2010/04/09
目上の男性
大御所の年配の著者から電話で、
今からお詫びかねがね汽車に乗って行こうと思います。
アクツさんの予定はどうですか。
まだ汽車の時間調べていないけれど、上野からは20分くらいでしたね
と確か前橋に住んでいる先生が言うから、
朝から驚いてしまった。
昨日、「著者校を電話で」とサ☆さんから頼まれて電話しただけなんだけど、
1時間話し込むことになって。
今日は朝に電話をくれた。
「こんなことを言われたのは、30歳から書いてきて初めてだったんですよ…」と。
わたしはサ☆さんの赤字を確認しただけだったのに。
わたしに何を言わせた?!サ☆さん!と、「声にならない声に」。
なぜ前の雑誌のように、もっともっとと思っている時はこういうことないのに、
原稿を人から人へと流しているだけのような役割のときにこんなことになるのかな~
メイトの後は、
24年度の教科書の校正を頼まれに行く。
社外に出してはいけない、大変なゲラ。
汗をかいたつるぴかなおじさんが、
「それこそメイトさんなんかに流れちゃったら腹切りもんです」
とまくしたてるのを真摯にきいた。
土日にやれと。
土曜は会社あるんだよーとは言えず、任せておきなさいという笑いで。
家についたら、隣の島の長からお礼&謝罪メール。
文末には、明日休みかと思った休みたい。
そうなんですよね、休みたいのです。
S姉と御茶ノ水の立ち食いそば屋で腹ごしらえをした時に、
わかめそばとわかめうどんを頼み、記念撮影。
左がうどん。
今からお詫びかねがね汽車に乗って行こうと思います。
アクツさんの予定はどうですか。
まだ汽車の時間調べていないけれど、上野からは20分くらいでしたね
と確か前橋に住んでいる先生が言うから、
朝から驚いてしまった。
昨日、「著者校を電話で」とサ☆さんから頼まれて電話しただけなんだけど、
1時間話し込むことになって。
今日は朝に電話をくれた。
「こんなことを言われたのは、30歳から書いてきて初めてだったんですよ…」と。
わたしはサ☆さんの赤字を確認しただけだったのに。
わたしに何を言わせた?!サ☆さん!と、「声にならない声に」。
なぜ前の雑誌のように、もっともっとと思っている時はこういうことないのに、
原稿を人から人へと流しているだけのような役割のときにこんなことになるのかな~
メイトの後は、
24年度の教科書の校正を頼まれに行く。
社外に出してはいけない、大変なゲラ。
汗をかいたつるぴかなおじさんが、
「それこそメイトさんなんかに流れちゃったら腹切りもんです」
とまくしたてるのを真摯にきいた。
土日にやれと。
土曜は会社あるんだよーとは言えず、任せておきなさいという笑いで。
家についたら、隣の島の長からお礼&謝罪メール。
文末には、明日休みかと思った休みたい。
そうなんですよね、休みたいのです。
S姉と御茶ノ水の立ち食いそば屋で腹ごしらえをした時に、
わかめそばとわかめうどんを頼み、記念撮影。
左がうどん。
2010/04/08
2010/04/06
2010/04/04
神保町終
教科書校正の仕事は終わりました。
これからここでまた働く日が来るのか全く分からない状態。
Sさんからメールで、
羽つきのたい焼は、うっかりわたしも食べました、行列ができているところで、その会社の人もアクツさんのために並んだと思うと、いい人ですよね、
というようなことを教えてもらい、
そうなんだ!感激。もう1度会ってお礼を言いたいと思いました。
神保町は、ビル街ではなく、学生も大人もいっぱいいて、自動車も多く、小さいお店がいっぱいあり、古書店も並んでいて、あまり奇抜な格好の人はいないところでした。
OZの最新刊にも取り上げられていました。
これからここでまた働く日が来るのか全く分からない状態。
Sさんからメールで、
羽つきのたい焼は、うっかりわたしも食べました、行列ができているところで、その会社の人もアクツさんのために並んだと思うと、いい人ですよね、
というようなことを教えてもらい、
そうなんだ!感激。もう1度会ってお礼を言いたいと思いました。
神保町は、ビル街ではなく、学生も大人もいっぱいいて、自動車も多く、小さいお店がいっぱいあり、古書店も並んでいて、あまり奇抜な格好の人はいないところでした。
OZの最新刊にも取り上げられていました。
OZ magazine ( オズ・マガジン ) 2010年 04月号 [雑誌] (2010/03/12) 不明 商品詳細を見る |
印刷所
印刷所がどこが好き、どこの営業さんが好き、という話題で盛り上がって、
最近の人気は、三美の千葉さんですね。
風呂敷にゲラ包んで、
ほかの会社の営業さんとは違う時間に、
カウンターの所に現れて、
「アクツさん」と尻下がりで呼ぶ。
今日は土曜出勤日で、印刷所は来なくてとても静かで参った。
(電話もないからタイピングの音がよく聞こえるくらい)
ファクシミリで「これを最優先で仕上げてほしい」と長野印刷さん送ってみたら、
しばらくたって、「今日休みだったんだけど、ちょっと寄ってみたら、これ届いていたんですけど、ちょっとファックスだと欠けているんですよ。今日Mをそちらに行かせますから、原稿渡してください」という電話が来た。無視してくれていいって言ったのに。
数時間たって、仕事をがんばってくれる印刷所の方のことを思ってジーンとした。
ぶっきらぼうで訛っていて、たまに元気がなく、メールの文面が丁寧でさ、
笑いもせず、怒りもせず、やってやりましょうという意気込みも見せず、
ゲラにするのが早くて、その出来も美しい。
これは宮澤賢治の描いた理想の人間ではないかと思った。
最近の人気は、三美の千葉さんですね。
風呂敷にゲラ包んで、
ほかの会社の営業さんとは違う時間に、
カウンターの所に現れて、
「アクツさん」と尻下がりで呼ぶ。
今日は土曜出勤日で、印刷所は来なくてとても静かで参った。
(電話もないからタイピングの音がよく聞こえるくらい)
ファクシミリで「これを最優先で仕上げてほしい」と長野印刷さん送ってみたら、
しばらくたって、「今日休みだったんだけど、ちょっと寄ってみたら、これ届いていたんですけど、ちょっとファックスだと欠けているんですよ。今日Mをそちらに行かせますから、原稿渡してください」という電話が来た。無視してくれていいって言ったのに。
数時間たって、仕事をがんばってくれる印刷所の方のことを思ってジーンとした。
ぶっきらぼうで訛っていて、たまに元気がなく、メールの文面が丁寧でさ、
笑いもせず、怒りもせず、やってやりましょうという意気込みも見せず、
ゲラにするのが早くて、その出来も美しい。
これは宮澤賢治の描いた理想の人間ではないかと思った。
幸福な食卓
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