シフォンケーキとエンガディナーとクッキーとどら焼きを作って、持っていった。
食べてもらえるって思っただけで、病院に行くぞー!となった。
雨の日の病院は静かだった。
同室には白髪のおばあちゃんがいた。医療ミスでどうにもうまくいかず、ずっと入院しているんだとか。
途中、おばあちゃんが咽び泣いた。上司が、彼女は一日一回泣くんだと言っていた。
聞き取れないほど母音の多い言葉で、
わたしがわかったのは「だれも分かってくれない」。
上司は彼女のところに行って「泣いたらつまんないよ」「ごめん、分からないんだ」と言って手を握っていた。