分厚い本。
舞台は九州。
殺人事件の話で途中まで犯人は分からないけれど、
推理小説ではなく、家族と男女の愛情の話であった。
悪人 (2007/04/06) 吉田 修一 商品詳細を見る |
今の世の中、大切な人もおらん人間が多すぎったい。大切な人がおらん人間は、何でもできると思い込む。自分には失うもんがなかっち、それで自分が強うなった気になっとる。失うものもなければ、欲しいものもない。だけんやろ、自分を余裕のあのある人間だっち思い込んで、失ったり、欲しがったり一喜一憂する人間を馬鹿にした目で眺めとる。そうじゃなかとよ。本当はそれじゃ駄目とよ。
というセリフを読んで、4、5年前に「何もない人と守りたいものがある人ではどっちが強いと思う?」とまじめに質問してきた人のことを思い出した。
「悪人」呼ばわりされる人は、決して悪い人ではなくけなげな人だった。むごい仕打ちをされても誰も嫌わず、誰も恨まず。
そんな人が「悪人」のふりするから、
涙をこぼして読んだけれど、
総じておもしい本ではなかった。
こんなに長い小説を九州の方言で書いて、漢字変換が大変だったろうと思ったし、
本が厚くて重くて長いのは通勤時間に読むから困る。
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