ことば汁 (2008/09) 小池 昌代 商品詳細を見る |
小池昌代の最近の短編集。
好きな話は、ザリガニが脱皮して、彼女が寝取られる「女房」という話。
好きでもない話に、「野うさぎ」というのがあるんだけど、
それの、
夢でわたしは一匹の野うさぎだった。
(略)
男のしゃべる言葉をわたしはすべて理解できる。けれどわたしは、言葉をしゃべることはできない。それでただ、一方的に聞くだけなのだが、それがすこしも不満ではない。男は話好きで、一日じゅう、しゃべっている。あること、あらぬこと、ほんとうのこと、嘘のこと、想像したこと、夢のこと。
わたしは男に、耳の後ろをなでてもらうのが好きだ。そこだけ茶色の毛がはえていない。男の指がじかに触れるので、感じやすいわたしは、とても幸福になれる。
というのがびっくりするぐらいびっくりして、
体の中に蕁麻疹ができるような感動を覚えたのです。
それでこのページにしおりを挟んで何回も読み直しました。
この本も、
あることをきっかけに、世界がぐてんぐてんに壊れていったり、
違う世界に迷い込んで戻れなくなったりするんだけど、
わたしは、今日バッチリアイライナーひいたのに、
病院で佐★さんから電話で「おやすみなさい」って言われて、
家までの坂を幻覚と話しながらのぼって。
ちょっと怖いよ。
ことば汁/小池昌代
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