2009/12/13

傍観者


k先生が原稿を全然くれないし、
印刷所がもう広告と差し替えますよって言うし、
サホさんはお仕事で編集長と接待?に行ってしまうし、なんて日があった。
どっちにしろもう原稿を落とすのはいやだし、廃刊前に連載原稿落とす気にはなれない。

その日、最後まで隣のG長ヤグチさんが残業に付き合ってくれた。
「K先生は原稿なんて書いてないよ」「うそついてんだよ」と鼻で笑いながらも付き合ってくれた。(感謝!)
無事K先生からもらって、帰途についたのですが、
乗った電車が発進しなかった。
「お客様が傘をドアに挟んだため、発進できません!」と怒りのアナウンスが流れて、
そんなことをしてしまうのですねえというような言葉をもごもご話していたら、
わたくしたちのすぐ後ろに傘の先端があった。

初老の女性が傘を抜こうとして駅員さんに止められているところだった。
「お客様が傘をドアに挟んだため、発進できません。
 ドアに物を挟む行為は、お客様の迷惑になりますので、決して(略)」
と怒りのアナウンスが続く。

そして傘をとるために、ドアが開くことに。
このままだと傘が落ちてしまう?
どうしましょう、と思った。
しかし、ヤグチさんは全く興味がなさそうだった。
わたしたちが共感できたのは、アナウンスの人がしつこいということだけだった。

それから傘はもう簡単には取れない暗いところへ落ちてしましまった。
「持てば落ちなかったかもしれませんね」
「いや、それはないでしょう」
「傍観者」
そういうところが好きです。

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