2009/11/07

さっちゃんとわたしの40分

おじいちゃんが血糖値高くて、糖尿病にもなっちゃって、アルツハイマーにもなっちゃって、血もドロドロなんだって。
そして最近、おじいちゃんの左足が壊死した。

高校の時に、カナが、「煙草を吸って血が指先までいかなくてなって切断をすること」をとってもこわがっていたことを思い出す。
壊死が進行しないために、左足を切る。
結構ばっさり大きく切った。
(おじいちゃんは足がなくなったって気付くのかな。)

 驚いたことに、「切った足は火葬しないといけない」。
 医療廃棄物として病院側がどうこうするのかと思っていたのに。
 足の棺は、8,000円。高い。いや、自分の感覚なんてわからない。

おばあちゃんは当日病院には来なかった。
 ……「若い人にはついていけないよ」と言って。
 おばあちゃんは棺をくるむための布を用意した。
 足の棺は思っていたものよりずっと大きかったから、困ってしまって、風呂敷4枚を縫い合わせた。


驚いたことに、「裏口は使わないでください」と言うので、
棺をもってエレベーターを降りる。
お父さんは重さに手をしびれさせながら運んだ。

車の中に落ち着いた左足。
でもわたしたちはそわそわしちゃう。
お母さんは隣に座るのをいやがるから、わたしが左足の隣に座った。
すぐ火葬しようと全員一致で火葬場へ向かった。
なのに、行ってみると、火葬場は予約がいっぱい。
だから、左足は、左足の死亡診断書と一緒に静かに置かれた。
でも、そわそわはおさまらない。家にまだある左足をお母さんはとてもいやがっていたし、死亡診断書というものも奇妙に感じたから。この書類があるから、バラバラ事件にはならないらしく、とても大事なものなんだということなのだけれど、どうも“足の死亡”に慣れない。


日を変えて、火葬を済ませた。
そしてまた驚いたことに、「骨ひろってください」と言われて、
”おじいちゃんは生きているのに、拾骨する”というのがどうもしっくりこなくて、
困ってしまった。足は輪切りになっていた。チェーンソーか、そのようなものを使ったのだろう。手術を想像しながら、骨を一つ一つおさめていく。

次の日の授業は、解剖学だった。
体はとってもすごい。ニキビ一つできるというのは、体がすごい戦いをした跡だったとか、アレルギーと呼ばれるのは体の勘違いだとか。
お医者さんはすごいって思うし、煙草は大嫌いだって思うし、
変わらないよ。
医療の勉強は楽しい。どんどんつながっていく感じ、最高に楽しい。

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