道筋に並んでいる商店はどれもこれもあまり繁盛しているようには見えなかった。どの店も建物は古く、中は暗そうだった。看板の字が消えかけているものもあった。建物の旧さやスタイルから見て、このあたりが戦争で爆撃を受けなかったらしいことがわかった。だからこうした家並みがそのままに残されているのだ。もちろん建てなおされたものもあったし、どこの家も増築されたり部分的に補修されたりはしていたが、そういうものはまったくの古い家より余計に汚らしく見えることの方が多かった。
人々の多くは車の多さや空気の悪さや騒音や家賃の高さに音をあげて郊外に移っていってしまい、あとに残ったのは安アパートか社宅か引越しのむずかしい商店か、あるいは頑固に昔から住んでいる土地にしがみついている人だけといった雰囲気の町だった。車の排気ガスのせいで、まるでかすみがかったみたいに何もかもがぼんやりと薄汚れていた。
『1Q84』も言いたい放題だったけれど、
こういうのが作家なら、作家は嫌われ者になってしまうね。
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